「はつらつ数珠つなぎ」は、熟年世代・介護者・支援者がつながっていきます。
あなたもつながりませんか?

辻よしきさん

お話を聞かせていただいたのは「書工房 慶樹」の辻よしきさんです。
辻さんは読んだ人の心がぬくもり、元気になるような言葉を独特な筆字で表現され、筆字の教室や個展、講演会などもなさっています。言葉集の出版やカレンダーも作成され、それを見て元気をもらったとおっしゃる方もたくさんおられるそうです。
お会いした時、辻さんは下駄履きに作務衣姿。人に緊張感を与えない話しやすい雰囲気が伝わってきます。お話を伺うと、本当にパワフルです。
サラリーマン、会社経営、ボランティア活動と様々な経験をされており、昔から人から相談されることも多かったそうです。
「なんで僕なんやろう?」と思うこともあるそうですが、そんな時でも自分が「何をする人か」にこだわることなく、人に頼まれたこと、自分ができることをやっているということでした。
身近な人には「困った時の“辻頼み”とか言われて」と笑っておられました。入り組んだ相談も多いけれど「いっぺんに解決しようとしない。ぼくはそういうのをシンプルにまとめるのが好きなんです。問題は一つ一つ解決していくこと。」とおっしゃいます。
「ぼくはどんな人にも態度は変わりません。たとえ有名人でも、同じ人間だから。こちらが気を使いすぎたら、かえって相手が嫌な気持ちになることがあるものです。」
「もちろんぼくも、たくさん失敗をしましたよ。体験して、失敗することはいいことですよ。それによって反省するし、勉強になって生かすことができる。だから失敗は怖くないし、こだわりません。切り替えが大事。」
笑いをはさみながら、なるほど、と思うことを次々とお話ししてくださいます。
普段は畑仕事もなさっておられるそうで、それもお元気の秘訣かもしれません。
やりたいことや思い立ったことは「レスポンス良く、行動は速くすることが大切。」という言葉どおり、軽やかで行動力にあふれる辻さんに、笑顔と元気をいただきました。

下口雄山さん

今回ご紹介する下口さんは「下口雄山メンタルフィットネス」の代表です。メンタルヘルスケアに関する講演や、自分で心や体をケアするための「自律訓練法」の指導や講座をされています。
講座では声の誘導で呼吸をしたり、体を動かしたりするのですが、下口さんの話し方と声は温かくて聞き心地が良く、すーっと頭にはいってきます。終わった後はすっきりして気持ちや身体が楽になります。
40代半ば過ぎまでは登山が趣味で、その後はスキーやロードバイクでのサイクリングをしていたそうです。今でも定期的にスポーツクラブに通って運動をされています。運動は「栄養」「睡眠」と共に健康な生活をおくる為には大切なことだそうです。
下口さんはお仕事もとてもお好きで、今もお仕事に関するアイディアが湧いていて、これから何をしていきたいかを積極的に考えておられます。
「僕はね、150歳までライフプランを作ってあるんです。50、60はまだつぼみ、70、80は花盛りって前は言っていたけどね。でも、これからは90、100が花盛りと言われるようになりますよ。」と笑いながらおっしゃいました。
「こうなります、という目標を持ってその目標を明確にすること。どんどん口に出していくことが大事。強くイメージすることは必ず実現します。」
昔かかげた目標はそうやって全て実現してきたそうです。そして、今もそれを実践されています。
お話ししていて、バイタリティにあふれておられるなぁと思いました。新しいことに興味を持って、取り入れられていく下口さん。お会いして元気をいただきました。

髙橋さん

今日取材をしたのは、83歳で一人暮らしをされている高橋さん(女性)です。今は「みーちゃん」という黒猫と一緒に暮らしています。
娘さんが1人いますが遠方にお住まいのため、なかなか会うことが出来ません。
高橋さんは、両膝に人工関節が入っていたり、右足の足首が交通事故の後遺症でしびれたりしていますが、「そんなことに負けたくない」と出来るだけ元気に、自分の身体と相談しながら過ごすことを心がけているそうです。
「足を使わないと、どんどん歩けなくなる。だから、ちょっとぐらい痛くたってがんばるよ」とニコニコされます。
高橋さんは趣味で“裂き織り”です。裂き織は、紐状に裂いた布を折機で織って新しい布として再生することです。裂いた布を織り機で織るのは足の力も使うし、なかなか複雑な作業工程です。
「これも私のリハビリのひとつだから。それに、みんなが裂き織に使って欲しいって古い着物とか送ってくれるから織っちゃわないとね。出来たのをあげると喜ばれるしね。」と。
日々の暮らしのことを伺うと、「家のことをするのは一人で大変な時もあるし、辛いことや面倒なこともあったりするけど、がんばってるよー。全部足のリハビリになるし、ボケ防止だと思ってやっているの。そして、頑張っていると、みんなが声をかけてくれて、本当に良くしてくれる。今日もスポーツクラブで冗談を言って笑いあったの。私って本当に人に恵まれてる、ありがたいなって思っているの。」
日々、感謝の気持ちで無理せず楽しんで過ごすことが、高橋さんの元気と笑顔の秘訣のようです。

衣川育良さん

今回ご紹介するのは「一般社団法人 サポート住宅協会 住マイル」理事の衣川育良(きぬがわいくお)さんです。

衣川さんは爽やかな印象の方で、ご自分のお仕事や活動への思いを熱く語って下さいました。

高齢者の方に対しての思いをお聞きしたところ、ご自分がおばあちゃん子であったこと、仕事でお会いする高齢者の方にはつい親切にしてしまうこと、その方が少しでも喜んでくれたりすることが嬉しいとお話し下さいました。
衣川さんは現在、不動産の仕事と、障がい者支援の仕事をされています。

「昔は、障がい者や高齢者に対して、関心は向かなかったんです。
でも、障がい者に接する機会が増え、自分の親が高齢になってきたこともあり、障がい者や、高齢者の生活のことについても考えるようになりました。
今、障がい者支援を通じて、本当に困っている人を、ちょっとお手伝いしてあげることで笑顔に出来るという経験をさせてもらっています。
そういった経験から、自分が出来ることを考えました。
それで、以前からやっている不動産の仕事を生かして、保証人がいない方にも借りやすい賃貸住宅を提供する事業を始めました。
ゆくゆくは、借りたあとも見守りをしたり、孤独にならないように、共用の食堂なども作りたいと思っています。
ひとりでも多くの笑顔を増やしたい、そういう思いで法人を立ち上げました。」

「住スマイル」さんは、昨年末に法人を立ち上げられたばかりです。衣川さんは「こうしていきたい」「こんなことをしたい」という希望やアイディアを色々持っておられ、実現に向けて活動されています。これからきっと、たくさんの方を笑顔にされていくと思います。

永井佳子さん

今回ご紹介するのは「特定非営利活動法人 高齢者介助の会」理事長の永井佳子さんです。

永井さんは「はつらつネットワーク」のチラシやホームページにたくさんご登場頂いている笑顔が素敵なフォトジェニックです。大阪の空堀商店街にある「からほりさろん」を拠点に活動されています。

永井さんは色々なボランティアを経験されたそうです。その中で、たくさんの人に会い、その中で出会ったたくさんの経験を通じて「高齢者外出介助の会」を立ち上げられました。

その当時は介護保険制度もなく、認知症や体が不自由な高齢者の方等、高齢者が自由に家から出ることがままならなかったのです。その現状を目の当たりにして高齢者が「自由に外出できる支援」が必要だと感じられ、この活動を始められました。

活動のことなどをお聞きする中で、永井さんはこんなお話をしてくださいました。

『過去に障がい者の人から言われたことなのだけど、

“話をしていて自分の話に怒ってくる人がいる時、障害者だからといって気を遣わないで、「ちゃんと向き合ってくれている。自分の話を聞いてくれている」と思う”って。

ちょっと前に、理不尽な言いがかりとしか思えない言葉で障がいのある会員さんが突っかかってきたことがあって、それに対して怒ると、その人はプイっと帰っていってしまった。

私は誰に対しても特別扱いはしたくない。間違っていると伝えることは勇気がいるし、本人を傷つけるかもしれないけれど言わねばならないことは言おうと思っている。障がい者の人も特別扱いせずに、わがままだったり、間違えたりしていたら、受け流さないことがちゃんと向き合うということなんですよ』

たくさんの人と接する中で、その都度、色々なことを教えてもらい、学んできたという永井さん。明るい笑顔とサッパリした口調の中に、力強さがある、素敵な方でした。